Guide 03

許可で困らない「事業目的」の書き方

許認可と定款の関係、あとから変えると何が起きるか

この記事でわかること

事業目的とは何か、なぜ許認可の申請で文言が問われることがあるのか

許認可を見据えた書き方の考え方と、書き方の例

設立後に目的を変えるとどんな手続きと費用がかかるのか

01事業目的とは

事業目的とは、会社が「どんな事業をするのか」を書いたものです。会社を作るときに定款へ記載し、設立登記で登記簿にも載ります。登記簿(登記事項証明書)の「目的」欄を見れば、誰でもその会社がどんな事業をしているか確認できます。

多くの方は「将来やるかもしれないこと」を広く書いておきたくなりますし、それも一つの考え方です。ただ、許認可が関わる場合は、それだけでは足りないことがあります。

02なぜ許認可で文言が問われるのか

許可や登録の審査では、申請する会社が本当にその事業を行うのか、書類で確認する必要があります。そのため、定款や登記事項証明書の提出を求められることが多く、その中の事業目的が確認の対象になる場合があります。

たとえば、厚生労働省の労働局が出している案内では、次のような扱いが示されています。

  • 労働者派遣事業の許可:定款の目的に「労働者派遣事業」と記載があることを確認する。記載がなければ、先に目的を追加する手続きが必要
  • 有料職業紹介事業の許可:登記簿の目的に「有料職業紹介事業」または「職業紹介事業」の記載があることを求める

これらは各地の労働局が公開している資料にある扱いです。和歌山で申請する場合は、和歌山労働局に最新の取扱いを確認してください。

一方、同じ「許可」でも、目的の記載をどこまで見るかは、許可の種類や窓口によって異なります。「どの許可も、この文言があれば通る」という共通のルールはありません。だからこそ、設立前に、取りたい許可の窓口に確認しておくことが大切です。

03書き方の考え方

1. 許可の名前と法律の言葉に寄せる

許可を取りたい事業は、その許可の正式な名前に近い言葉で書くと、確認する側にも伝わりやすくなります。

2. 取りたい許可は、目的に明記する

「将来取るかもしれない許可」も、設立時の定款に入れておくと、あとで目的変更の手続きをしなくて済む場合があります。ただし、事業と関係のない項目を並べすぎると、取引先や金融機関から見たときに事業内容が分かりにくくなります。優先順位をつけましょう。

3. 「その他これに附帯関連する一切の事業」で締める

定款では、最後に「前各号に附帯又は関連する一切の事業」といった一文を入れるのが一般的です。ただし、この一文があっても、許認可の確認の場面では、個別の事業が具体的に書かれていることが求められる場合があります。

4. 文言は窓口で確認する

迷ったら、案文を作ってから、許可の窓口に「この書き方で問題ないか」を確認する方法が確実です。

04書き方の例

書き方の例です。これでよいと決めつけず、取りたい許可の窓口で確認することを前提にご覧ください。

事業目的の書き方の例
建設業建設工事の請負、設計及び施工
古物商古物営業法に基づく古物の売買、交換及び委託販売
飲食店飲食店の経営
運送一般貨物自動車運送事業
人材(派遣)労働者派遣事業
人材(紹介)有料職業紹介事業
旅館・民泊旅館業、住宅宿泊事業
美容美容室の経営

最後に「前各号に附帯又は関連する一切の事業」を加える形が一般的です。

05あとから変えると何が起きるか

設立後に事業目的を変えるには、次の流れになります。

  1. 会社の決まりに沿って、定款を変更することを決める(株式会社は株主総会など)
  2. 法務局で、目的の変更登記を申請する

登記と費用

  • 目的の変更は、登記事項の変更にあたるため、法務局で変更登記を申請します。登記の申請は司法書士の業務です。
  • 法務局が示している株式会社の記載例では、目的の変更登記の登録免許税は3万円です。合同会社の記載例(商号及び目的を変更する場合)でも、登録免許税は1件につき3万円とされています。
  • 登録免許税に加えて、司法書士に依頼する場合は報酬が別にかかります。

つまり、目的を一つ足すだけでも、登録免許税3万円と手間が発生します。設立のときに、必要な目的をまとめて入れておくほうが負担は少なくて済みます。

許認可との関係

許可を申請する直前に目的を追加する場合は、登記が完了してから登記事項証明書を取る流れになるため、申請までの日数が延びます。許可の申請を急ぐ場合は、日程に余裕を持つことをおすすめします。

06設立前に確認しておきたいこと

  • 数年のうちに取る可能性がある許可の一覧を作る
  • それぞれの窓口に、目的の書き方の確認方法を聞く
  • 許可の要件(資格者、場所、資金)も、あわせて調べる
  • 定款の案ができた段階で、一度専門家の目を通す

07まとめ

  • 事業目的は、定款と登記簿に載る「会社のやること」の宣言です。許認可の審査で確認されることがあります。
  • 労働者派遣・有料職業紹介のように、目的の記載が確認される許可があります。取りたい許可は、設立の時点で目的に入れておくと安心です。
  • 設立後の目的変更は、司法書士による変更登記が必要で、法務局の記載例では、株式会社・合同会社とも登録免許税が3万円かかります。

「この許可を取るなら、目的はどう書けばよいか」といった段階からのご相談も承ります。ふくはら行政書士事務所は、定款の作成と許認可の両方を扱っていますので、設立前の整理からお手伝いできます。なお、登記の申請は司法書士にご依頼いただく形になります。

福
代表 行政書士 福原 美有紀

事業目的は、設立のときに入れておけば済むことが、あとからだと手間と費用がかかります。予定している許可があれば、定款を作る前に教えてください。

参考(確認日2026-10-01)

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